2012/12/09

オルタナティブな生き方を考えるヒント


ユースシンポジウム2012



先週末ユースシンポジウム2012というイベントに、お声がけ頂き「こんな生き方も"あり”です」という分科会にてパネリストとして参加させて頂きました。そこでの気づきや手にした感覚のことを書きとめておきたいと思います。

ユースシンポジウムとは、「若者と共に生き方をデザインする」というテーマで、京都市ユースサービス協会が若者を取り巻く課題(生きづらさ)について支援者と若者と共に考える場です。

僕が参加させて頂いた分科会のパネリストは、以下の3名。

嘉村さん(NPO 法人場とつながりラボHome’s vi 代表理事)
木村さん(株式会社基地計画 代表取締役社長)
吉田さん(まなび∞カフェ 主宰)

お互い顔は見たことはありましたが、深いところで話をしたことはなかったので、
オファーを請けた際には、ふたつ返事で出たいと思える。そんなメンバーでした。

午前中の基調講演の内容としては、このブログでエントリーしているようなキャリア観ではなく、どちらかというと働きたくても働けないひとや、社会的弱者とされるひとたちに向けた生き方の支援をどういうアプローチでしていくのか、というような趣旨のものでした。

最近話題にされている『レイブル』ステージの方々に向けた内容に近いと思います。

僕が考えたり人の相談にのる際に論じていたキャリアの対象は、満足感の高低差はあっても、基本的な仕事は得れるという前提に立った上で、どう働いていくか、どう生きていくのか、という事が中心だったの対して、目の前の仕事を得ることができない人や、将来の見通しがなく不安を抱えている人たちや、その場に来ることすらが精一杯の人たちが参加者として比較的多いように見受けられました。

【引用】http://greenz.jp/2012/12/08/latebloome/

お伝えしたこと

午後からの分科会がはじまり、ワークショップでいざ彼らを目の前にすると、
僕の考えていたそういった前提をまずは捉え直す必要がありました。

捉え直し方として、参加者の言動や表情にとにかく集中して耳や目を向け、その場の言語的な情報や感覚的なものを手がかりに、関わりかたや接しかたを変えてゆく。
カウンセリングと違って多数の方を相手にするとなると、情報量も多く複雑になるので、
非常に疲労感が残る作業でしたが、自分の中では新しい感覚でした。

グループワークをしている間に、パネリスト4名で参加者のステージに合わせた内容で、
対話ができるようなかたちにするという変更を、短い間で行い各自が参加者の声を広いながら、グループワークで出た声を下に、パネリストが話をするかたちで締めくくりました。

その場で伝えたこと(少なくとも僕の中で)は、まとめると以下の二点になります。

●コミュニティがあると、生き方の幅(可能性)を広げることができる

●コミュニティづくりは、ひととひとをつなぐこと(応援すること)から始まる

というのも、それぞれ4人ともが、何かしらのコミュニティを自分で持っていました。
シェアハウスやシェアオフィスであったり、商店街や地域に根ざす活動であったりとかたちは違いますが、おぼろげながら感じた共通項はそんなところでした。

個人的にも、コミュニティがある種の社会資本になることで、生き方の下支えになり、幅が広がったという風に思います。自分ひとりでは何もできないけれど、コミュニティの力で自分の安全圏が広がり、冒険できるようになったり、時に傷ついたとしても、自分を肯定してくれる存在や仲間がいると思えば、思いっきり踏み出せる。そんな感覚です。

では、そういうコミュニティをどうやったら作れるのか?持てるのか?という問いに対しては、色々と答えは各パネリストから出ましたが、嘉村さんの答えに非常に共感できました。

それは「ひととひとを繋ぐこと(応援すること)」ということ

何人以上からをコミュニティと呼ぶのか分からないけれど、1対1の関係がその最小単位だとして、その2人をきっかけに3人、4人と増えていくことで、コミュニティはその人の周辺に育っていきます。そして、そういう小さな繋がり作りや応援を繰り返していれば、人は自然とその人を慕って集まりができるだろうし、誰かへの応援はきっとカタチを変えて、自分を助けてくれる何かになって返ってくる可能性が高くなります。

お伝えしたかったこと

※「ドロップアウトすることが、いいということでありません」

世間一般でいう普通(便宜上、会社に入って働くことをそう呼ぶ)から外れて、自分の道を進んでいくことが、必ずしも正解ではないということです。

そもそもどの道を選ぼうが、これだけ不透明な時代になると、正解は誰にも分かりません。
むしろ重要なのは、自分の選んだ道に納得感を持てるかどうかということで、会社員であっても納得感を持って過ごせていれば、それは幸せなことだと思います。

分科会の趣旨が、選択肢が一つ(会社員にならなければならない)というよりも、もう少しオルタナティブな働き方があってもいいよ。という事のはずだったので、そういう意味で会社員以外の働き方をしている僕たちがゲストになったとは思いますが、注釈的に、それが唯一の正解ではないという事だけは、伝えておきたかったわけです。

実際、僕自身は会社員を経験して良かったと思いますし、今も半分は会社員のようなものです。納得感を持って働ける環境があるのであれば、会社員の方がいいのではないか?と思うことすらあります。

「こうでなければならない」という狭い視野や少ない選択肢の考え方だと、窮屈になったりしんどくなると思うので、今思うと「そうじゃないくてもいいよ」というようなことが伝えれたら良かったのですが、そいう文脈でお伝えできていなかった面もあったのではないかと思い、反省をふまえて書き留めておきます。


最後に
パネリストの皆さん お疲れさまでした。今後ともよろしくお願いします。
分科会のコーディネートをして頂いた岡本さん ありがとうございました。

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